地熱エネルギーとは?仕組みやメリット・デメリットを簡単に解説
地熱エネルギーとは、地球内部にある熱エネルギーのことです。地球の中心部分には、5,000~6,000度もの地熱エネルギーがあります。また、火山周辺にも1,000度以上もの地熱エネルギーが存在しており、暖房や浴用、施設園芸などさまざまな場面で活用されているのが特長です。
この記事では、地熱エネルギーおよび地熱発電の仕組み、メリットやデメリットを簡単に開設します。
地熱エネルギーについて関心を持ち始めた方などは、ぜひ参考にしてみてください。
目次
地熱エネルギーとは
地熱エネルギーとは、地球内部に存在している熱エネルギーのことです。地球の中心部分には、5,000~6,000度ものの熱エネルギーが常に存在しています。
また、地熱エネルギーは、地表の近くに存在しているケースもあり、暖房や施設園芸、浴用、発電などに活用されています。
たとえば、火山周辺の地下2,000m前後に存在しているマグマだまり(岩が溶けている状態)は、1,000度以上の熱を持っているのが特徴です。このような地熱エネルギーで温められたお湯は温泉に活用できます。さらに、発生した蒸気については、発電などに使用したりすることも可能です。
地熱発電の仕組み
地熱エネルギーを活用した発電方法は、地熱発電と呼ばれています。
地熱発電というと地熱エネルギーをそのまま使用するイメージで考える方も多いかと思います。実際は「蒸気」を活用して、タービンを回転させて発電するのが地熱発電の基本的な仕組みです。
まず、雨などで地面に吸収された水分は、地下深くのマグマが流れている場所まで浸透します。その後、水分は地熱エネルギー(マグマの熱)によって、地熱流体(ちねつりゅうたい)という高温の状態へ変わります。
あとは地熱貯留槽(ちねつちょりゅうそう)という地熱流体の溜まっている場所から蒸気を取り出し、発電機のタービンを回転させ、電気を作る流れです。
地熱発電は、フラッシュ発電とバイナリ発電という2種類の構造にわかれています。
それでは、地熱発電の種類とそれぞれの特徴を簡単に解説します。
フラッシュ発電
地熱発電のフラッシュ発電は、地熱貯留槽にある地熱流体を取り出し、蒸気を直接利用していく方式です。
以下にフラッシュ発電の具体的な流れを紹介します。
- 地熱貯留槽から蒸気と熱水を取り出す
- 気水分離器と呼ばれる装置で熱水と蒸気をわける
- 取り出した蒸気をタービンに送り込む
- 高温の蒸気でタービンが回転し発電機から電気を作り出す
気水分離器で取り出された熱水については、地熱貯留槽へ戻します。また、タービンへ送り込んだあとの蒸気は冷却されたのち、他の蒸気を冷却するために再利用する流れです。
主な特徴として、蒸気を直接利用している点が挙げられます。タービンを回転させるには高温の蒸気が必要のため、200℃以上の熱水・蒸気を用意しなければいけません。
フラッシュ発電では、200℃以上の熱を持つ地熱流体から蒸気を取り出すことで、そのままタービンへ送りこむことが可能です。
バイナリ発電
バイナリ発電は、地熱貯留槽にある150℃以下の地熱流体を取り出します。二次媒体(水とアンモニアの混合物をはじめとした地熱流体以外の物質)を地熱流体で熱し、発生した蒸気をタービンに送り込み発電させるのが特徴です。
以下にバイナリ発電の具体的な流れを紹介します。
- 地熱貯留槽から蒸気と熱水を取り出す
- 蒸発器と呼ばれる装置で地熱流体の熱を二次媒体へ伝える
- 二次媒体から取り出した蒸気をタービンに送り込む
- 高温の蒸気でタービンが回転し発電機から電気を作り出す
二次媒体から蒸気を発生させるのが、バイナリ発電の特徴です。フラッシュ発電と異なりとは低温の地熱流体でも発電に活用できるため、さまざまな場所で活用しやすいのが強みのひとつといえます。
発電後の二次媒体については、液体に戻したのち蒸発器で再度活用されます。また、使用後の地熱流体については、地下に戻される流れです。
地熱エネルギーを活用した発電事業がもたらす影響
地熱発電は、火山の多い日本にとって導入検討しやすい設備といえます。また、CO2排出量が少ないため、環境負荷という点でもメリットの多い発電設備です。
一方で、コスト面や発電効率に課題があるため、導入ハードルの高い側面もあります。
それでは、地熱エネルギーを活用した発電事業がもたらす影響について確認していきましょう。
環境負荷が少ない
地熱発電は、火力発電などと比較してCO2排出量の少ない発電方法で、環境への影響が抑えられています。
そもそもCO2を含む温室効果ガスは、気候変動問題の原因とされています。そのため、発電時のCO2排出量については、削減していく必要があります。
主な発電設備のCO2排出量は、石油火力発電約742g/kWh、石炭火力発電で約975g/kWhです。一方、地熱発電の場合は、1kWhあたり約15gと、石油火力発電や石油火力発電に対して10分の1以下と排出量が非常に少ない傾向といえます。
参考:「発電別二酸化炭素発電別二酸化炭素(CO2)排出量(北海道開発局)」
他の再生可能エネルギーより電力を安定的に供給できる
他の再生可能エネルギーより電力を安定的に供給できるのは、地熱発電の大きなメリットです。
太陽光発電や風力発電の場合は、日射量や風速などの影響で発電量が大きく変動しやすく、発電量0の場面も出てきます。クリーンなエネルギーではあるものの、電力の安定供給という点で課題の多い状況です。
地熱発電に必要な地熱エネルギーは常時一定の量を取り出せるため、太陽光発電や風力発電と比較して安定した電力供給を目指せます。
エネルギーの枯渇リスクが低い
地熱発電に必要な地熱エネルギーは、地球内部のマグマから発生しており、半永久的に取り出すことが可能です。有限の化石燃料と比較した場合、エネルギーの枯渇リスクが低いといえます。
また、地熱発電に使用した熱水は井戸を通して地下に戻すため、再利用できるのもメリットのひとつです。使用後の蒸気については、温水に戻したのちさまざまな施設で活用できます。
再利用しやすく、かつ枯渇リスクの低い地熱エネルギーは、エネルギーを輸入に頼る日本にとって注目の再生可能エネルギーです。
発電効率が低い
地熱発電は、他の再生可能エネルギーと比較して発電効率の低い傾向です。効率的に地熱エネルギーを活用できない点は、デメリットであり課題のひとつといえます。
地熱発電の発電効率は、10~20%程度と太陽光発電やバイオマス発電と同程度の水準です。発電効率80%台の水力発電と比較すると、効率的にエネルギーを取り出しきれていない状況といえます。
空気中に流れてしまう熱をいかに活用できるかが、発電効率を改善する上で重要なポイントです。
建設コストが高い
地熱発電設備の平均的な建設コストは、資源エネルギー庁の資料によると168万円/kWと太陽光発電などよりも高い水準です。また、設備の建設には10数年かかるため、短期間で費用回収できません。
設備を設置するためには、まず地熱貯留層のある地層を見つける必要があります。しかし、1回の調査で地熱貯留層を見つけることは難しいため、何度も調査や掘削を行うための費用と時間をかけなければいけません。
仮に地熱貯留層を発見したとしても、数10年単位で蒸気を取り出さなければいけないため、採算が取れない場合は断念せざるを得ないケースもあります。
そのため、地熱発電の建設ハードルは、太陽光発電などと比較して高い状況です。
地熱エネルギーは地熱発電として活用されるクリーンエネルギー
地熱エネルギーは、地球内部に存在している熱エネルギーを指しています。主に暖房や施設園芸、発電などに活用されているのが特徴です。特に地熱発電については、火山の多い日本に合った発電設備です。
地熱エネルギーはさまざまな場面で用いられており、発電所を含むインフラ設備への活用にも期待できるクリーンなエネルギーといえます。
地熱エネルギーとは?仕組みやメリット・デメリットを簡単に解説
地熱エネルギーとは、地球内部にある熱エネルギーのことです。地球の中心部分には、5,000~6,000度もの地熱エネルギーがあります。また、火山周辺にも1,000度以上もの地熱エネルギーが存在しており、暖房や浴用、施設園芸などさまざまな場面で活用されているのが特長です。
この記事では、地熱エネルギーおよび地熱発電の仕組み、メリットやデメリットを簡単に開設します。
地熱エネルギーについて関心を持ち始めた方などは、ぜひ参考にしてみてください。
目次
地熱エネルギーとは
地熱エネルギーとは、地球内部に存在している熱エネルギーのことです。地球の中心部分には、5,000~6,000度ものの熱エネルギーが常に存在しています。
また、地熱エネルギーは、地表の近くに存在しているケースもあり、暖房や施設園芸、浴用、発電などに活用されています。
たとえば、火山周辺の地下2,000m前後に存在しているマグマだまり(岩が溶けている状態)は、1,000度以上の熱を持っているのが特徴です。このような地熱エネルギーで温められたお湯は温泉に活用できます。さらに、発生した蒸気については、発電などに使用したりすることも可能です。
地熱発電の仕組み
地熱エネルギーを活用した発電方法は、地熱発電と呼ばれています。
地熱発電というと地熱エネルギーをそのまま使用するイメージで考える方も多いかと思います。実際は「蒸気」を活用して、タービンを回転させて発電するのが地熱発電の基本的な仕組みです。
まず、雨などで地面に吸収された水分は、地下深くのマグマが流れている場所まで浸透します。その後、水分は地熱エネルギー(マグマの熱)によって、地熱流体(ちねつりゅうたい)という高温の状態へ変わります。
あとは地熱貯留槽(ちねつちょりゅうそう)という地熱流体の溜まっている場所から蒸気を取り出し、発電機のタービンを回転させ、電気を作る流れです。
地熱発電は、フラッシュ発電とバイナリ発電という2種類の構造にわかれています。
それでは、地熱発電の種類とそれぞれの特徴を簡単に解説します。
フラッシュ発電
地熱発電のフラッシュ発電は、地熱貯留槽にある地熱流体を取り出し、蒸気を直接利用していく方式です。
以下にフラッシュ発電の具体的な流れを紹介します。
- 地熱貯留槽から蒸気と熱水を取り出す
- 気水分離器と呼ばれる装置で熱水と蒸気をわける
- 取り出した蒸気をタービンに送り込む
- 高温の蒸気でタービンが回転し発電機から電気を作り出す
気水分離器で取り出された熱水については、地熱貯留槽へ戻します。また、タービンへ送り込んだあとの蒸気は冷却されたのち、他の蒸気を冷却するために再利用する流れです。
主な特徴として、蒸気を直接利用している点が挙げられます。タービンを回転させるには高温の蒸気が必要のため、200℃以上の熱水・蒸気を用意しなければいけません。
フラッシュ発電では、200℃以上の熱を持つ地熱流体から蒸気を取り出すことで、そのままタービンへ送りこむことが可能です。
バイナリ発電
バイナリ発電は、地熱貯留槽にある150℃以下の地熱流体を取り出します。二次媒体(水とアンモニアの混合物をはじめとした地熱流体以外の物質)を地熱流体で熱し、発生した蒸気をタービンに送り込み発電させるのが特徴です。
以下にバイナリ発電の具体的な流れを紹介します。
- 地熱貯留槽から蒸気と熱水を取り出す
- 蒸発器と呼ばれる装置で地熱流体の熱を二次媒体へ伝える
- 二次媒体から取り出した蒸気をタービンに送り込む
- 高温の蒸気でタービンが回転し発電機から電気を作り出す
二次媒体から蒸気を発生させるのが、バイナリ発電の特徴です。フラッシュ発電と異なりとは低温の地熱流体でも発電に活用できるため、さまざまな場所で活用しやすいのが強みのひとつといえます。
発電後の二次媒体については、液体に戻したのち蒸発器で再度活用されます。また、使用後の地熱流体については、地下に戻される流れです。
地熱エネルギーを活用した発電事業がもたらす影響
地熱発電は、火山の多い日本にとって導入検討しやすい設備といえます。また、CO2排出量が少ないため、環境負荷という点でもメリットの多い発電設備です。
一方で、コスト面や発電効率に課題があるため、導入ハードルの高い側面もあります。
それでは、地熱エネルギーを活用した発電事業がもたらす影響について確認していきましょう。
環境負荷が少ない
地熱発電は、火力発電などと比較してCO2排出量の少ない発電方法で、環境への影響が抑えられています。
そもそもCO2を含む温室効果ガスは、気候変動問題の原因とされています。そのため、発電時のCO2排出量については、削減していく必要があります。
主な発電設備のCO2排出量は、石油火力発電約742g/kWh、石炭火力発電で約975g/kWhです。一方、地熱発電の場合は、1kWhあたり約15gと、石油火力発電や石油火力発電に対して10分の1以下と排出量が非常に少ない傾向といえます。
参考:「発電別二酸化炭素発電別二酸化炭素(CO2)排出量(北海道開発局)」
他の再生可能エネルギーより電力を安定的に供給できる
他の再生可能エネルギーより電力を安定的に供給できるのは、地熱発電の大きなメリットです。
太陽光発電や風力発電の場合は、日射量や風速などの影響で発電量が大きく変動しやすく、発電量0の場面も出てきます。クリーンなエネルギーではあるものの、電力の安定供給という点で課題の多い状況です。
地熱発電に必要な地熱エネルギーは常時一定の量を取り出せるため、太陽光発電や風力発電と比較して安定した電力供給を目指せます。
エネルギーの枯渇リスクが低い
地熱発電に必要な地熱エネルギーは、地球内部のマグマから発生しており、半永久的に取り出すことが可能です。有限の化石燃料と比較した場合、エネルギーの枯渇リスクが低いといえます。
また、地熱発電に使用した熱水は井戸を通して地下に戻すため、再利用できるのもメリットのひとつです。使用後の蒸気については、温水に戻したのちさまざまな施設で活用できます。
再利用しやすく、かつ枯渇リスクの低い地熱エネルギーは、エネルギーを輸入に頼る日本にとって注目の再生可能エネルギーです。
発電効率が低い
地熱発電は、他の再生可能エネルギーと比較して発電効率の低い傾向です。効率的に地熱エネルギーを活用できない点は、デメリットであり課題のひとつといえます。
地熱発電の発電効率は、10~20%程度と太陽光発電やバイオマス発電と同程度の水準です。発電効率80%台の水力発電と比較すると、効率的にエネルギーを取り出しきれていない状況といえます。
空気中に流れてしまう熱をいかに活用できるかが、発電効率を改善する上で重要なポイントです。
建設コストが高い
地熱発電設備の平均的な建設コストは、資源エネルギー庁の資料によると168万円/kWと太陽光発電などよりも高い水準です。また、設備の建設には10数年かかるため、短期間で費用回収できません。
設備を設置するためには、まず地熱貯留層のある地層を見つける必要があります。しかし、1回の調査で地熱貯留層を見つけることは難しいため、何度も調査や掘削を行うための費用と時間をかけなければいけません。
仮に地熱貯留層を発見したとしても、数10年単位で蒸気を取り出さなければいけないため、採算が取れない場合は断念せざるを得ないケースもあります。
そのため、地熱発電の建設ハードルは、太陽光発電などと比較して高い状況です。
地熱エネルギーは地熱発電として活用されるクリーンエネルギー
地熱エネルギーは、地球内部に存在している熱エネルギーを指しています。主に暖房や施設園芸、発電などに活用されているのが特徴です。特に地熱発電については、火山の多い日本に合った発電設備です。
地熱エネルギーはさまざまな場面で用いられており、発電所を含むインフラ設備への活用にも期待できるクリーンなエネルギーといえます。