水素エネルギーとは?仕組みやメリット・デメリットを簡単に解説
水素エネルギーという言葉を耳にしたことはありませんか。現在、日本が輸入に頼らざるを得ない化石燃料に代わる新たなエネルギーとして注目されています。
水素と聞くと危ないイメージがありますが、非常にクリーンなエネルギーを生み出すことができ二酸化炭素も発生しません。
本記事では日本において究極のエネルギーとも称される水素エネルギーについて解説します。
目次
水素エネルギーとは
水素エネルギーとは、水素と酸素が化学反応を起こすことで発生するエネルギーのことを言います。水素エネルギーは二酸化炭素などの温室効果ガスを発生させないクリーンなエネルギーのため、化石燃料に代わる新たなエネルギーとして期待されています。
水素エネルギーはなぜ必要なのか?その必要性とは
水素エネルギーは「水素基本戦略」という国家戦略が打ち出されるほど、これからの日本にとって必要なエネルギーになるとされています。
それは化石燃料に代わる新たなエネルギーとして、究極のエネルギー源になり得ると期待されているからです。2021年の日本のエネルギー自給率は13.3%で、他のOECD諸国と比べても低い水準であることは知られたところです。
参考:経済産業省 資源エネルギー庁 主要国の一次エネルギー自給率比較(2021年)
日本は90%以上の一次エネルギーが輸入による化石燃料であり、化石燃料の輸入が滞れば石油や電力の供給が不足し物流網などもダメージを受けます。
社会的混乱に陥ることは目に見えており、日本経済は大打撃を受けます。ですが、水素エネルギーであれば自国内でエネルギーを作り出すことができるため、化石燃料に頼らなくてもエネルギー自給率を大幅に上げることができます。
こういった理由から、日本では水素エネルギーが化石燃料の代替えエネルギー源になり得るとして期待されているのです。
水素エネルギーがもたらす影響
以下では水素エネルギーがもたらす影響について解説します。
- 水素エネルギーのメリットとは
- 水素エネルギーのデメリットとは
- 水素エネルギーのリスクとは
水素エネルギーのメリットとは
日本にとって水素エネルギーは以下のようなメリットがあります。
- 環境に優しいエネルギーであること
- 日本のエネルギー自給率を高める
- 日本の産業競争力を高める
環境に優しいエネルギーであること
水素エネルギーは二酸化炭素を排出しない環境に優しいエネルギーです。電気エネルギー及び熱エネルギーどちらを利用しても二酸化炭素を排出しません。脱炭素社会を目指すうえでも大きく環境保護に貢献するエネルギーなのです。
日本のエネルギー自給率を高める
水素はさまざまな資源からつくることができます。例えば、不要になった廃プラスチックや下水汚泥のほか、エタノールやメタノールといったアルコールからも作ることができます。
また、電気分解をかければ水から取り出すことも可能です。このように水素は日本国内においていくらでも作り出すことができるため、日本のエネルギー自給率を高めることにつながります。
日本の産業競争力を高める
日本は40年以上にもわたり水素エネルギーや燃料電池などの研究開発を行ってきました。日本は資源に乏しいものの、それを補う科学技術の発展を遂げてきたことは自明です。こういった背景から、水素エネルギーの研究開発分野では他国よりも優位な存在です。
“日本は水素エネルギーに関連する高い技術を持っています。たとえば、後述する「燃料電池」分野における特許出願件数は、日本が世界一です。”
参考:経済産業省 資源エネルギー庁 「水素エネルギー」は何がどのようにすごいのか?
こういった優位性もあり水素エネルギーの分野では、より日本の産業競争力が高まることが期待されています。
水素エネルギーのデメリットとは
水素エネルギーは以下のデメリットがあります。
- 製造する必要がある
- 製造工程で二酸化炭素を発生させてしまう
製造する必要がある
水素は1次エネルギーではないため、製造する必要があります。1次エネルギーとはいわゆる石油や石炭、天然ガスのことで自然界から得ることができ、なおかつそれらを加工せずにそのまま使用できます。
水素は2次エネルギーのため1次エネルギーを使用して水素を作り出す必要があります。こういった手間と費用のかかる作業がデメリットのひとつとなっています。
製造工程で二酸化炭素を発生させてしまう
水素はエネルギーとして利用する際には二酸化炭素が発生しませんが、作り出す工程において二酸化炭素が発生してしまいます。
現在のところ、水素を安価かつ大量に製造するためには化石燃料の使用がもっとも効率的です。いわゆる「グレー水素」と呼ばれるもので、現在でも世界の95%がこの方式で水素を製造しています。
こういった問題を解決するための方法として、化石燃料を再生可能エネルギーに置き換えたいわゆる「グリーン水素」が推奨されていますが、コストや普及率の面から思うように進んでいない現状があります。
水素エネルギーのリスクとは
水素エネルギーは可燃性ガスのため爆発する危険性があります。しっかりとした設備導入のもとで取り扱わないと、何かの拍子に漏れ出した水素に静電気などが発生すると爆発に至る可能性があります。
水素はガソリンよりも爆発上限界が高く着火エネルギーが小さいため爆発のリスクが常につきまとうのです。
水素エネルギーにおける取り組み
以下では水素エネルギーにおける取り組みについて解説します。
- 水素エネルギーに関する国の取り組み
- 水素エネルギーに関する企業の取り組み
- 水素エネルギーに関する世界の取り組み
水素エネルギーに関する国の取り組み
長年研究開発を続けてきた日本における取り組みは、水素エネルギーを利用しようとする企業への補助金や技術開発の推進、標準化の整備などを推し進めています。
世界に先駆けエネファームなどを製品化させた東芝燃料電池システム株式会社には、内閣総理大臣賞を授与するなど国をあげて政策を行っています。
水素エネルギーに関する企業の取り組み
水素エネルギーにおいては企業も取り組みを実施しています。例えば「本田技研工業株式会社」では、水素事業のコアである燃料電池システムをさらに進化させるべくGM(ゼネラルモーターズ)と共同で要素研究を進めています。
また「川崎重工業株式会社」では、水素を究極のエネルギーと称して再生可能エネルギーから製造することを宣言しています。
水素エネルギーに関する世界の取り組み
水素エネルギーは世界でも取り組みが行われています。例えば米国ユタ州ではグリーン水素を活用した大型水素発電プロジェクトによって、水素のみでの運転を目指しています。
またフランスでは水素製造能力を6.5GWに引き上げ、ドイツでは5GWに引き上げるなど、各国における目標も明確に打ち出されています。
まとめ
本記事では水素エネルギーについて解説しました。水素エネルギーは資源が乏しい日本にとって究極のエネルギーとも称されるほど、まさに自国のエネルギー自給率を上げる有力な方法の一つとなっています。
水素エネルギーが実現すれば、化石燃料に頼らずとも安定したエネルギーを自国で生み出すことができるため、常に安定供給に寄与できます。今まさに水素エネルギーの商用化が望まれています。
水素エネルギーとは?仕組みやメリット・デメリットを簡単に解説
水素エネルギーという言葉を耳にしたことはありませんか。現在、日本が輸入に頼らざるを得ない化石燃料に代わる新たなエネルギーとして注目されています。
水素と聞くと危ないイメージがありますが、非常にクリーンなエネルギーを生み出すことができ二酸化炭素も発生しません。
本記事では日本において究極のエネルギーとも称される水素エネルギーについて解説します。
目次
水素エネルギーとは
水素エネルギーとは、水素と酸素が化学反応を起こすことで発生するエネルギーのことを言います。水素エネルギーは二酸化炭素などの温室効果ガスを発生させないクリーンなエネルギーのため、化石燃料に代わる新たなエネルギーとして期待されています。
水素エネルギーはなぜ必要なのか?その必要性とは
水素エネルギーは「水素基本戦略」という国家戦略が打ち出されるほど、これからの日本にとって必要なエネルギーになるとされています。
それは化石燃料に代わる新たなエネルギーとして、究極のエネルギー源になり得ると期待されているからです。2021年の日本のエネルギー自給率は13.3%で、他のOECD諸国と比べても低い水準であることは知られたところです。
参考:経済産業省 資源エネルギー庁 主要国の一次エネルギー自給率比較(2021年)
日本は90%以上の一次エネルギーが輸入による化石燃料であり、化石燃料の輸入が滞れば石油や電力の供給が不足し物流網などもダメージを受けます。
社会的混乱に陥ることは目に見えており、日本経済は大打撃を受けます。ですが、水素エネルギーであれば自国内でエネルギーを作り出すことができるため、化石燃料に頼らなくてもエネルギー自給率を大幅に上げることができます。
こういった理由から、日本では水素エネルギーが化石燃料の代替えエネルギー源になり得るとして期待されているのです。
水素エネルギーがもたらす影響
以下では水素エネルギーがもたらす影響について解説します。
- 水素エネルギーのメリットとは
- 水素エネルギーのデメリットとは
- 水素エネルギーのリスクとは
水素エネルギーのメリットとは
日本にとって水素エネルギーは以下のようなメリットがあります。
- 環境に優しいエネルギーであること
- 日本のエネルギー自給率を高める
- 日本の産業競争力を高める
環境に優しいエネルギーであること
水素エネルギーは二酸化炭素を排出しない環境に優しいエネルギーです。電気エネルギー及び熱エネルギーどちらを利用しても二酸化炭素を排出しません。脱炭素社会を目指すうえでも大きく環境保護に貢献するエネルギーなのです。
日本のエネルギー自給率を高める
水素はさまざまな資源からつくることができます。例えば、不要になった廃プラスチックや下水汚泥のほか、エタノールやメタノールといったアルコールからも作ることができます。
また、電気分解をかければ水から取り出すことも可能です。このように水素は日本国内においていくらでも作り出すことができるため、日本のエネルギー自給率を高めることにつながります。
日本の産業競争力を高める
日本は40年以上にもわたり水素エネルギーや燃料電池などの研究開発を行ってきました。日本は資源に乏しいものの、それを補う科学技術の発展を遂げてきたことは自明です。こういった背景から、水素エネルギーの研究開発分野では他国よりも優位な存在です。
“日本は水素エネルギーに関連する高い技術を持っています。たとえば、後述する「燃料電池」分野における特許出願件数は、日本が世界一です。”
参考:経済産業省 資源エネルギー庁 「水素エネルギー」は何がどのようにすごいのか?
こういった優位性もあり水素エネルギーの分野では、より日本の産業競争力が高まることが期待されています。
水素エネルギーのデメリットとは
水素エネルギーは以下のデメリットがあります。
- 製造する必要がある
- 製造工程で二酸化炭素を発生させてしまう
製造する必要がある
水素は1次エネルギーではないため、製造する必要があります。1次エネルギーとはいわゆる石油や石炭、天然ガスのことで自然界から得ることができ、なおかつそれらを加工せずにそのまま使用できます。
水素は2次エネルギーのため1次エネルギーを使用して水素を作り出す必要があります。こういった手間と費用のかかる作業がデメリットのひとつとなっています。
製造工程で二酸化炭素を発生させてしまう
水素はエネルギーとして利用する際には二酸化炭素が発生しませんが、作り出す工程において二酸化炭素が発生してしまいます。
現在のところ、水素を安価かつ大量に製造するためには化石燃料の使用がもっとも効率的です。いわゆる「グレー水素」と呼ばれるもので、現在でも世界の95%がこの方式で水素を製造しています。
こういった問題を解決するための方法として、化石燃料を再生可能エネルギーに置き換えたいわゆる「グリーン水素」が推奨されていますが、コストや普及率の面から思うように進んでいない現状があります。
水素エネルギーのリスクとは
水素エネルギーは可燃性ガスのため爆発する危険性があります。しっかりとした設備導入のもとで取り扱わないと、何かの拍子に漏れ出した水素に静電気などが発生すると爆発に至る可能性があります。
水素はガソリンよりも爆発上限界が高く着火エネルギーが小さいため爆発のリスクが常につきまとうのです。
水素エネルギーにおける取り組み
以下では水素エネルギーにおける取り組みについて解説します。
- 水素エネルギーに関する国の取り組み
- 水素エネルギーに関する企業の取り組み
- 水素エネルギーに関する世界の取り組み
水素エネルギーに関する国の取り組み
長年研究開発を続けてきた日本における取り組みは、水素エネルギーを利用しようとする企業への補助金や技術開発の推進、標準化の整備などを推し進めています。
世界に先駆けエネファームなどを製品化させた東芝燃料電池システム株式会社には、内閣総理大臣賞を授与するなど国をあげて政策を行っています。
水素エネルギーに関する企業の取り組み
水素エネルギーにおいては企業も取り組みを実施しています。例えば「本田技研工業株式会社」では、水素事業のコアである燃料電池システムをさらに進化させるべくGM(ゼネラルモーターズ)と共同で要素研究を進めています。
また「川崎重工業株式会社」では、水素を究極のエネルギーと称して再生可能エネルギーから製造することを宣言しています。
水素エネルギーに関する世界の取り組み
水素エネルギーは世界でも取り組みが行われています。例えば米国ユタ州ではグリーン水素を活用した大型水素発電プロジェクトによって、水素のみでの運転を目指しています。
またフランスでは水素製造能力を6.5GWに引き上げ、ドイツでは5GWに引き上げるなど、各国における目標も明確に打ち出されています。
まとめ
本記事では水素エネルギーについて解説しました。水素エネルギーは資源が乏しい日本にとって究極のエネルギーとも称されるほど、まさに自国のエネルギー自給率を上げる有力な方法の一つとなっています。
水素エネルギーが実現すれば、化石燃料に頼らずとも安定したエネルギーを自国で生み出すことができるため、常に安定供給に寄与できます。今まさに水素エネルギーの商用化が望まれています。