エネルギー自給率とは?日本が低い理由と上げるための解決策
エネルギー自給率という言葉は聞いたことないでしょうか。その名の通りエネルギーを自分の力で獲得することです。しかしながら、日本はこのエネルギー自給率がとても低いという現状があります。
日本は先進国でもエネルギー消費大国でありながら、自国で1次エネルギーを獲得できない不安定要素が常に存在するのです。本記事では、自国でエネルギーを安定供給するために重要な「エネルギー自給率」について解説します。
エネルギー自給率とは
エネルギー自給率とは、自然界に存在する石油や石炭、天然ガスといった1次エネルギーを自国内で産出及び確保できる比率のことを言います。これらの天然資源(自然資源)を輸入に頼らず自国内でどれだけまかなえるか、ということです。
エネルギー自給率の低い日本
日本のエネルギー自給率はOECD38カ国中37位と非常に低い順位となっています。
参考:経済産業省 資源エネルギー庁 主要国の一次エネルギー自給率比較(2021年)
エネルギー自給率に至っては13.3%となっており1位のノルウェーのおおむね57分の1以下となっています。日本は1次エネルギーを化石燃料に頼っており、その90%を輸入でまかなっている状態です。
日本はこういった天然資源(自然資源)に乏しい国でもあるのです。
日本のエネルギー自給率が低い理由とは
日本のエネルギー自給率が低い理由は、上項目「エネルギー自給率の低い日本」でも解説した通り、90%の1次エネルギーを輸入でまかなっているためです。
日本では現在、東日本大震災の影響により多くの原子力発電所が停止しており、日本のエネルギーは輸入による化石燃料に頼っています。
化石燃料の代替えとなる再生可能エネルギーも施策が行われていますが、思うように普及しておらず火力発電に頼っている現状があります。
エネルギー自給率の必要性
日本のエネルギー自給率を高める必要がある理由は、エネルギーを安定供給するためです。世界情勢などの影響を受けやすい輸入に頼ったエネルギーの供給では、不安定化しやすくエネルギー不足に陥る可能性が高くなります。
エネルギー不足が起きると経済情勢も不安定化し、電気代の高騰や物流網の停滞などさまざまな社会的混乱が起きやすくなります。こういったことを起こさないためにもエネルギー自給率を高める必要があるのです。
エネルギー自給率がもたらす影響とは
以下ではエネルギー自給率がもたらす影響について解説します。
- エネルギー自給率を高めるメリットとは
- エネルギー自給率が低いデメリットとは
- エネルギー自給率が低いことで抱えるリスクとは
エネルギー自給率を高めるメリットとは
エネルギー自給率を高めることで以下のようなメリットがあります。
- エネルギーを安定供給できるようになる
- カーボンニュートラル実現に向けた取り組みになる
- 化石燃料への依存を軽減できる
エネルギーを安定供給できるようになる
エネルギー自給率を高めると、自国内でエネルギーを作り出せるため安定供給に寄与できるようになります。現在、日本でエネルギー自給率を高める方法として注目されているのが、水素エネルギーです。
温室効果ガスを発生させず自国内でいくらでも作り出すことができるため、日本にとって究極のエネルギーと言われています。
カーボンニュートラル実現に向けた取り組みになる
上述「エネルギーを安定供給できるようになる」でも解説した通り、日本のエネルギー自給率を高めることは脱炭素社会に向けた取り組みにもつながります。
つまり日本が掲げている2050年までのカーボンニュートラルに向けた取り組みにもなっているのです。日本がエネルギー自給率を高めた取り組みを行えば、同時にこういった環境保護のメリットにもつながるのです。
化石燃料への依存を軽減できる
日本のエネルギー自給率が高くなればなるほど、化石燃料の依存から脱却できます。日本がエネルギー自給率を上げるためには、水素エネルギーか再生可能エネルギーを利用するしかありません。こういったことから、日本がエネルギー自給率を上げられれば化石燃料は必要なくなるのです。
エネルギー自給率が低いデメリットとは
エネルギー自給率が低いデメリットは以下が挙げられます。
- 温室効果ガス排出の削減が困難
- 電気料金の高騰につながる
温室効果ガス排出の削減が困難
エネルギー自給率が低いと温室効果ガス排出の削減が困難になります。エネルギー自給率が低い日本では現状、輸入による化石燃料でエネルギーをまかなっています。化石燃料は使用した際に二酸化炭素を多く排出してしまいます。
日本は2050年までにカーボンニュートラルを目指しており、二酸化炭素などの温室効果ガスを多く排出すれば、それだけカーボンニュートラルの実現が困難になってしまいます。
電気料金の高騰につながる
化石燃料は電気代の高騰にもつながります。現在、電気料金の算出項目には「燃料費調整額」があり、燃料の価格変動に応じて金額が調整されます。この燃料費調整では燃料の価格が高騰すると電気料金にプラス調整されます。
逆に燃料の価格が下落するとマイナス調整されます。こういった要因もエネルギー自給率が低いデメリットと言えます。
エネルギー自給率が低いことで抱えるリスクとは
エネルギー自給率が低いことで抱えるリスクには、化石燃料の輸入が困難になるとエネルギー不足が発生する可能性があることが挙げられます。
日本は世界有数のエネルギー消費大国と言われており、エネルギー不足に陥ると経済活動が止まってしまうリスクが指摘されています。
世界有数のエネルギー消費大国でありながら、エネルギー自給率が極めて低く化石燃料の輸入に頼らざるを得ないという脆弱なエネルギー構造となっているのです。
エネルギー自給率への取り組み
以下では日本のエネルギー自給率に対する取り組みについて解説します。
- エネルギー自給率への国の取り組み
- エネルギー自給率への企業の取り組み
- エネルギー自給率への世界の取り組み
エネルギー自給率への国の取り組み
日本ではエネルギー自給率を上げるために「再生エネルギーの導入拡大」「省エネの推進」の2つに主軸を置き施策を行っています。日本では2030年までにエネルギー自給率を30%程度まで引き上げる目標を掲げています。
参考:経済産業省 資源エネルギー庁 2030年度におけるエネルギー需給の見通し.p68
エネルギー自給率への企業の取り組み
日本の企業はすでにエネルギー自給率向上に向けた取り組みを行っています。エネルギー自給率を向上させるには、水素エネルギーもしくは再生可能エネルギーを利用すればよいのです。
例えば、川崎重工業株式会社や本田技研工業株式会社などでは、すでに水素を利用した燃料電池システムの研究開発が行われています。また森永乳業やエプソン、イオンといった企業は再生可能エネルギーの導入を行っています。
エネルギー自給率への世界の取り組み
世界においてもエネルギー自給率への取り組みは行われています。例えば、再生可能エネルギーで世界をリードするデンマークでは、2050年までに化石燃料に依存しないシステムを構築する目標を掲げています。
またドイツでは、今後さらに再生可能エネルギーの割合を増やし原子力発電所を段階的に廃止するとしています。世界ではこのように、環境に配慮したエネルギー自給率の向上に向けて日々取り組んでいます。
まとめ
本記事では、エネルギー自給率について解説しました。エネルギー自給率が低いにも関わらずエネルギー消費大国とされる日本は、輸入に頼った化石燃料が手放せない現状があります。
こういった不安定要素を取り除くには、水素エネルギーもしくは再生可能エネルギーといった自国で作り出せるクリーンエネルギーにシフトしていくしかありません。
今後2050年までのカーボンニュートラル実現に向けて、このようなエネルギー自給率向上に向けた取り組みは加速していくでしょう。
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エネルギー自給率とは?日本が低い理由と上げるための解決策
エネルギー自給率という言葉は聞いたことないでしょうか。その名の通りエネルギーを自分の力で獲得することです。しかしながら、日本はこのエネルギー自給率がとても低いという現状があります。
日本は先進国でもエネルギー消費大国でありながら、自国で1次エネルギーを獲得できない不安定要素が常に存在するのです。本記事では、自国でエネルギーを安定供給するために重要な「エネルギー自給率」について解説します。
エネルギー自給率とは
エネルギー自給率とは、自然界に存在する石油や石炭、天然ガスといった1次エネルギーを自国内で産出及び確保できる比率のことを言います。これらの天然資源(自然資源)を輸入に頼らず自国内でどれだけまかなえるか、ということです。
エネルギー自給率の低い日本
日本のエネルギー自給率はOECD38カ国中37位と非常に低い順位となっています。
参考:経済産業省 資源エネルギー庁 主要国の一次エネルギー自給率比較(2021年)
エネルギー自給率に至っては13.3%となっており1位のノルウェーのおおむね57分の1以下となっています。日本は1次エネルギーを化石燃料に頼っており、その90%を輸入でまかなっている状態です。
日本はこういった天然資源(自然資源)に乏しい国でもあるのです。
日本のエネルギー自給率が低い理由とは
日本のエネルギー自給率が低い理由は、上項目「エネルギー自給率の低い日本」でも解説した通り、90%の1次エネルギーを輸入でまかなっているためです。
日本では現在、東日本大震災の影響により多くの原子力発電所が停止しており、日本のエネルギーは輸入による化石燃料に頼っています。
化石燃料の代替えとなる再生可能エネルギーも施策が行われていますが、思うように普及しておらず火力発電に頼っている現状があります。
エネルギー自給率の必要性
日本のエネルギー自給率を高める必要がある理由は、エネルギーを安定供給するためです。世界情勢などの影響を受けやすい輸入に頼ったエネルギーの供給では、不安定化しやすくエネルギー不足に陥る可能性が高くなります。
エネルギー不足が起きると経済情勢も不安定化し、電気代の高騰や物流網の停滞などさまざまな社会的混乱が起きやすくなります。こういったことを起こさないためにもエネルギー自給率を高める必要があるのです。
エネルギー自給率がもたらす影響とは
以下ではエネルギー自給率がもたらす影響について解説します。
- エネルギー自給率を高めるメリットとは
- エネルギー自給率が低いデメリットとは
- エネルギー自給率が低いことで抱えるリスクとは
エネルギー自給率を高めるメリットとは
エネルギー自給率を高めることで以下のようなメリットがあります。
- エネルギーを安定供給できるようになる
- カーボンニュートラル実現に向けた取り組みになる
- 化石燃料への依存を軽減できる
エネルギーを安定供給できるようになる
エネルギー自給率を高めると、自国内でエネルギーを作り出せるため安定供給に寄与できるようになります。現在、日本でエネルギー自給率を高める方法として注目されているのが、水素エネルギーです。
温室効果ガスを発生させず自国内でいくらでも作り出すことができるため、日本にとって究極のエネルギーと言われています。
カーボンニュートラル実現に向けた取り組みになる
上述「エネルギーを安定供給できるようになる」でも解説した通り、日本のエネルギー自給率を高めることは脱炭素社会に向けた取り組みにもつながります。
つまり日本が掲げている2050年までのカーボンニュートラルに向けた取り組みにもなっているのです。日本がエネルギー自給率を高めた取り組みを行えば、同時にこういった環境保護のメリットにもつながるのです。
化石燃料への依存を軽減できる
日本のエネルギー自給率が高くなればなるほど、化石燃料の依存から脱却できます。日本がエネルギー自給率を上げるためには、水素エネルギーか再生可能エネルギーを利用するしかありません。こういったことから、日本がエネルギー自給率を上げられれば化石燃料は必要なくなるのです。
エネルギー自給率が低いデメリットとは
エネルギー自給率が低いデメリットは以下が挙げられます。
- 温室効果ガス排出の削減が困難
- 電気料金の高騰につながる
温室効果ガス排出の削減が困難
エネルギー自給率が低いと温室効果ガス排出の削減が困難になります。エネルギー自給率が低い日本では現状、輸入による化石燃料でエネルギーをまかなっています。化石燃料は使用した際に二酸化炭素を多く排出してしまいます。
日本は2050年までにカーボンニュートラルを目指しており、二酸化炭素などの温室効果ガスを多く排出すれば、それだけカーボンニュートラルの実現が困難になってしまいます。
電気料金の高騰につながる
化石燃料は電気代の高騰にもつながります。現在、電気料金の算出項目には「燃料費調整額」があり、燃料の価格変動に応じて金額が調整されます。この燃料費調整では燃料の価格が高騰すると電気料金にプラス調整されます。
逆に燃料の価格が下落するとマイナス調整されます。こういった要因もエネルギー自給率が低いデメリットと言えます。
エネルギー自給率が低いことで抱えるリスクとは
エネルギー自給率が低いことで抱えるリスクには、化石燃料の輸入が困難になるとエネルギー不足が発生する可能性があることが挙げられます。
日本は世界有数のエネルギー消費大国と言われており、エネルギー不足に陥ると経済活動が止まってしまうリスクが指摘されています。
世界有数のエネルギー消費大国でありながら、エネルギー自給率が極めて低く化石燃料の輸入に頼らざるを得ないという脆弱なエネルギー構造となっているのです。
エネルギー自給率への取り組み
以下では日本のエネルギー自給率に対する取り組みについて解説します。
- エネルギー自給率への国の取り組み
- エネルギー自給率への企業の取り組み
- エネルギー自給率への世界の取り組み
エネルギー自給率への国の取り組み
日本ではエネルギー自給率を上げるために「再生エネルギーの導入拡大」「省エネの推進」の2つに主軸を置き施策を行っています。日本では2030年までにエネルギー自給率を30%程度まで引き上げる目標を掲げています。
参考:経済産業省 資源エネルギー庁 2030年度におけるエネルギー需給の見通し.p68
エネルギー自給率への企業の取り組み
日本の企業はすでにエネルギー自給率向上に向けた取り組みを行っています。エネルギー自給率を向上させるには、水素エネルギーもしくは再生可能エネルギーを利用すればよいのです。
例えば、川崎重工業株式会社や本田技研工業株式会社などでは、すでに水素を利用した燃料電池システムの研究開発が行われています。また森永乳業やエプソン、イオンといった企業は再生可能エネルギーの導入を行っています。
エネルギー自給率への世界の取り組み
世界においてもエネルギー自給率への取り組みは行われています。例えば、再生可能エネルギーで世界をリードするデンマークでは、2050年までに化石燃料に依存しないシステムを構築する目標を掲げています。
またドイツでは、今後さらに再生可能エネルギーの割合を増やし原子力発電所を段階的に廃止するとしています。世界ではこのように、環境に配慮したエネルギー自給率の向上に向けて日々取り組んでいます。
まとめ
本記事では、エネルギー自給率について解説しました。エネルギー自給率が低いにも関わらずエネルギー消費大国とされる日本は、輸入に頼った化石燃料が手放せない現状があります。
こういった不安定要素を取り除くには、水素エネルギーもしくは再生可能エネルギーといった自国で作り出せるクリーンエネルギーにシフトしていくしかありません。
今後2050年までのカーボンニュートラル実現に向けて、このようなエネルギー自給率向上に向けた取り組みは加速していくでしょう。