デコ活ってなんの略?目的と具体的な実践方法をわかりやすく解説
脱炭素の取り組みが国内でも実施されていますが、「デコ活」ということばを聞くことがあります。
デコ活とは、脱炭素関連の施策を推進するために、環境省が設定している新しい国民運動の名前です。
本記事では、デコ活の目的や実践方法などを説明すると共に、企業・自治体の取り組みまで、広範囲に解説します。
目次
デコ活とは?
環境省では、脱炭素関連の施策を推進するために新しい国民運動として「デコ活」を推進しています。
デコ活の目的
脱炭素に関しては、国内企業などの産業界での取り組みが徐々に増えています。
これに対して、国民ひとりひとりの行動は、具体的な成果がなかなか出にくい現状があります。環境省の調査では、下記のような現状が指摘されています。
参考:「デコ活」 ~くらしの中のエコろがけ~(環境省地球環境局デコ活応援隊)
脱炭素社会の実現に向けては、2030年の目標値に対して、2013年の排出実績からみて、家庭66%、運輸35%、産業38%、業務51%削減などが求められています(下図参照)。
特に、家庭部門において、産業・運輸部門より2倍近くの削減量が求められており、産業界に比べても、解決のための問題が山積しています。
また民間の意識調査によれば、9割の人が脱炭素という用語は認知しているが、何をしたらよいか分からないという状況があります。
このような現状をふまえて、環境省では具体的な行動の意識づけを目的として「デコ活」を2022年10月に導入しています。
デコ活運動の内容
環境省が推進しているデコ活は、2030年度削減目標の実現に向けた、行動変容・ライフスタイル転換を強力に後押しするための新しい国民運動です。
最終的に、国内での新たな消費・行動の喚起とグローバルな市場創出を促します。
環境省では、脱炭素につながる将来の豊かな暮らしの全体像・絵姿を紹介するとともに、国・自治体・企業・団体等が 連携し、国民のみなさまの新しい暮らしを後押する、としています。
具体的な施策としては、下記の3項目を掲げています。
- 官民連携で「デコ活」の効果的な実施につなげるため、プラットフォームとして、企業・自治体・団体等による官民連携協議会を新国民運動と同時に立ち上げ、一体的な展開を図っています
- 「デコ活応援団」を設定して、国・企業・自治体団体等の連携・実践の場&情報共有・意見交換の場とします
- 官民連携実践プロジェクトの組成から実施・フォローまで、デコ活応援団事務局がサポートします。
デコ活応援隊:「環境省・地球環境局・脱炭素ライフスタイル推進室」
デコ活応援隊・隊長:脱炭素ライフスタイル推進室長
TEL:03-5521-8341
デコ活応援団事務局:「ボストン・コンサルティンググループ」
TEL:03-6387-7198(土日祝日を除く)
参考:「デコ活」 ~くらしの中のエコろがけ~(環境省地球環境局デコ活応援隊)
デコ活実践における具体的内容(環境省)
それでは環境省のデコ活の取り組みとしては、どのようなものがあるのでしょうか。
断熱住宅における取り組み
環境省におけるデコ活の実践内容としては、まず住宅分野のデコ活があります。
住まいの窓や壁等を熱を伝えづらいものにする「断熱住宅」にすることで、室内外への熱の出入りを抑え、夏は涼しく、冬は暖かい快適な室内環境となります。冷暖房の使用量を抑え、CO2排出量や光熱費を削減することができます。
部屋間の寒暖差が小さくなることで、入浴中のヒートショックを予防するなど健康面でも大きな効果があります。
エコグッズに関する取り組み
環境省のデコ活では、積極的にエコグッズの導入をすすめています。
LEDや省エネ家電などのエコグッズを生活の中に取り入れることで、光熱費が節約できたり、高機能な製品を通じて快適で便利な生活を送ることができます。
食べ残しゼロに関する取り組み
食品ロスに対しても、環境省のデコ活運動において取り組んでいます。
日本では令和4年度に、約472万トンの食品ロス(家庭から約236万トン、事業者から約236万トン)が発生したと推計されています。
家庭からの食品ロスの要因は、料理を作りすぎるなどして捨ててしまう「食べ残し」、野菜の皮や茎など食べられるところまで切って捨ててしまう「過剰除去」、未開封のまま食べずに捨ててしまう「直接廃棄」です。
食品ロスを減らすことは、廃棄物の減量はもちろんのこと、食費の節約にもつながります。
テレワークに関する取り組み
テレワークの導入に関しても、デコ活運動で取り組まれています。
テレワークとは、ICT(情報通信技術)を活用し時間や場所にとらわれない働き方のことです。移動時間の削減により、通勤の疲労を減らし、余暇時間を増やすことができます。転職をせずに地方移住ができたり、育児や介護中でも働けるなど、多様な働き方・ワークライフバランスの実現も可能です。
企業・地方自治体におけるデコ活の取り組み
国内企業や地方自治体におけるデコ活の取り組み例としては、次のようなものがあります。
株式会社クラフジ
株式会社クラフジは、脱炭素社会の実現に向けた取り組みとして、下記のようにデコ活運動を宣言しています。
- 脱炭素につながる製品やサービスの提供、そして環境に配慮した取組を通じて、彩り豊かで持続可能な国民の暮らしを積極的に後押しします。ウェブマーケティングを通じ、エコなライフスタイルを広めます。
- 私たち自身も日々の生活や業務において、脱炭素に貢献する行動を実践し、豊かで環境に優しいデコ活を推進します。
同社では、地球に優しい選択を促進し、持続可能な未来づくりに貢献するとしています。
株式会社ジャパンエンジンコーポレーション
株式会社ジャパンエンジンコーポレーションは、舶用低速エンジンであるUEエンジンの、開発から、設計、製造、販売、アフターサービスまでの一貫体制を整えています。
経営理念には『環境対応と経済性を両立した技術と品質向上への飽くなき挑戦で、社会、海運・造船業界の発展に貢献する』と定めています。
気候変動を始めとする環境問題に対応し、環境と調和した事業活動と地球環境に配慮した製品・サービスの提供を通じて、「脱炭素社会の実現」などの環境課題に積極的に取り組むとしています。
愛知県名古屋市
名古屋市では、専用アプリ「なごっちゃ」をデコ活に導入しています。
「なごっちゃ」は、名古屋市が運営する環境行動促進アプリです。「公害対策・ごみ減量・SDGs・地球温暖化対策・生物多様性」をテーマに、日常のちょっとした環境行動を行う「エコチャレンジ」でポイントを貯めたり、景品に応募することができます。
島根県松江市
松江市は2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、脱炭素型のライフスタイルやビジネススタイルが定着した町を目指しています。
市民・事業者・行政が協力して、再生可能エネルギーの導入と活用を進めるとともに、脱炭素型のライフスタイルを取り入れることで、温室効果ガスの排出量の削減を実施します。環境省より、脱炭素先行地域として選定を受けた「国際文化観光都市・松江」において、カーボンニュートラルな観光を目標として取り組んでいます。
まとめ
本記事では、デコ活の目的や実践方法などを説明すると共に、企業・自治体における取り組みまで解説しました。
環境省関連以外では、やや空回りしている感の強いデコ活ですが、徐々に地方自治体などでも取り組みが開始されているようです。
環境省が設定している新しい国民運動の名前として、デコ活への理解が深まれば幸いです。
デコ活ってなんの略?目的と具体的な実践方法をわかりやすく解説
脱炭素の取り組みが国内でも実施されていますが、「デコ活」ということばを聞くことがあります。
デコ活とは、脱炭素関連の施策を推進するために、環境省が設定している新しい国民運動の名前です。
本記事では、デコ活の目的や実践方法などを説明すると共に、企業・自治体の取り組みまで、広範囲に解説します。
目次
デコ活とは?
環境省では、脱炭素関連の施策を推進するために新しい国民運動として「デコ活」を推進しています。
デコ活の目的
脱炭素に関しては、国内企業などの産業界での取り組みが徐々に増えています。
これに対して、国民ひとりひとりの行動は、具体的な成果がなかなか出にくい現状があります。環境省の調査では、下記のような現状が指摘されています。
参考:「デコ活」 ~くらしの中のエコろがけ~(環境省地球環境局デコ活応援隊)
脱炭素社会の実現に向けては、2030年の目標値に対して、2013年の排出実績からみて、家庭66%、運輸35%、産業38%、業務51%削減などが求められています(下図参照)。
特に、家庭部門において、産業・運輸部門より2倍近くの削減量が求められており、産業界に比べても、解決のための問題が山積しています。
また民間の意識調査によれば、9割の人が脱炭素という用語は認知しているが、何をしたらよいか分からないという状況があります。
このような現状をふまえて、環境省では具体的な行動の意識づけを目的として「デコ活」を2022年10月に導入しています。
デコ活運動の内容
環境省が推進しているデコ活は、2030年度削減目標の実現に向けた、行動変容・ライフスタイル転換を強力に後押しするための新しい国民運動です。
最終的に、国内での新たな消費・行動の喚起とグローバルな市場創出を促します。
環境省では、脱炭素につながる将来の豊かな暮らしの全体像・絵姿を紹介するとともに、国・自治体・企業・団体等が 連携し、国民のみなさまの新しい暮らしを後押する、としています。
具体的な施策としては、下記の3項目を掲げています。
- 官民連携で「デコ活」の効果的な実施につなげるため、プラットフォームとして、企業・自治体・団体等による官民連携協議会を新国民運動と同時に立ち上げ、一体的な展開を図っています
- 「デコ活応援団」を設定して、国・企業・自治体団体等の連携・実践の場&情報共有・意見交換の場とします
- 官民連携実践プロジェクトの組成から実施・フォローまで、デコ活応援団事務局がサポートします。
デコ活応援隊:「環境省・地球環境局・脱炭素ライフスタイル推進室」
デコ活応援隊・隊長:脱炭素ライフスタイル推進室長
TEL:03-5521-8341
デコ活応援団事務局:「ボストン・コンサルティンググループ」
TEL:03-6387-7198(土日祝日を除く)
参考:「デコ活」 ~くらしの中のエコろがけ~(環境省地球環境局デコ活応援隊)
デコ活実践における具体的内容(環境省)
それでは環境省のデコ活の取り組みとしては、どのようなものがあるのでしょうか。
断熱住宅における取り組み
環境省におけるデコ活の実践内容としては、まず住宅分野のデコ活があります。
住まいの窓や壁等を熱を伝えづらいものにする「断熱住宅」にすることで、室内外への熱の出入りを抑え、夏は涼しく、冬は暖かい快適な室内環境となります。冷暖房の使用量を抑え、CO2排出量や光熱費を削減することができます。
部屋間の寒暖差が小さくなることで、入浴中のヒートショックを予防するなど健康面でも大きな効果があります。
エコグッズに関する取り組み
環境省のデコ活では、積極的にエコグッズの導入をすすめています。
LEDや省エネ家電などのエコグッズを生活の中に取り入れることで、光熱費が節約できたり、高機能な製品を通じて快適で便利な生活を送ることができます。
食べ残しゼロに関する取り組み
食品ロスに対しても、環境省のデコ活運動において取り組んでいます。
日本では令和4年度に、約472万トンの食品ロス(家庭から約236万トン、事業者から約236万トン)が発生したと推計されています。
家庭からの食品ロスの要因は、料理を作りすぎるなどして捨ててしまう「食べ残し」、野菜の皮や茎など食べられるところまで切って捨ててしまう「過剰除去」、未開封のまま食べずに捨ててしまう「直接廃棄」です。
食品ロスを減らすことは、廃棄物の減量はもちろんのこと、食費の節約にもつながります。
テレワークに関する取り組み
テレワークの導入に関しても、デコ活運動で取り組まれています。
テレワークとは、ICT(情報通信技術)を活用し時間や場所にとらわれない働き方のことです。移動時間の削減により、通勤の疲労を減らし、余暇時間を増やすことができます。転職をせずに地方移住ができたり、育児や介護中でも働けるなど、多様な働き方・ワークライフバランスの実現も可能です。
企業・地方自治体におけるデコ活の取り組み
国内企業や地方自治体におけるデコ活の取り組み例としては、次のようなものがあります。
株式会社クラフジ
株式会社クラフジは、脱炭素社会の実現に向けた取り組みとして、下記のようにデコ活運動を宣言しています。
- 脱炭素につながる製品やサービスの提供、そして環境に配慮した取組を通じて、彩り豊かで持続可能な国民の暮らしを積極的に後押しします。ウェブマーケティングを通じ、エコなライフスタイルを広めます。
- 私たち自身も日々の生活や業務において、脱炭素に貢献する行動を実践し、豊かで環境に優しいデコ活を推進します。
同社では、地球に優しい選択を促進し、持続可能な未来づくりに貢献するとしています。
株式会社ジャパンエンジンコーポレーション
株式会社ジャパンエンジンコーポレーションは、舶用低速エンジンであるUEエンジンの、開発から、設計、製造、販売、アフターサービスまでの一貫体制を整えています。
経営理念には『環境対応と経済性を両立した技術と品質向上への飽くなき挑戦で、社会、海運・造船業界の発展に貢献する』と定めています。
気候変動を始めとする環境問題に対応し、環境と調和した事業活動と地球環境に配慮した製品・サービスの提供を通じて、「脱炭素社会の実現」などの環境課題に積極的に取り組むとしています。
愛知県名古屋市
名古屋市では、専用アプリ「なごっちゃ」をデコ活に導入しています。
「なごっちゃ」は、名古屋市が運営する環境行動促進アプリです。「公害対策・ごみ減量・SDGs・地球温暖化対策・生物多様性」をテーマに、日常のちょっとした環境行動を行う「エコチャレンジ」でポイントを貯めたり、景品に応募することができます。
島根県松江市
松江市は2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、脱炭素型のライフスタイルやビジネススタイルが定着した町を目指しています。
市民・事業者・行政が協力して、再生可能エネルギーの導入と活用を進めるとともに、脱炭素型のライフスタイルを取り入れることで、温室効果ガスの排出量の削減を実施します。環境省より、脱炭素先行地域として選定を受けた「国際文化観光都市・松江」において、カーボンニュートラルな観光を目標として取り組んでいます。
まとめ
本記事では、デコ活の目的や実践方法などを説明すると共に、企業・自治体における取り組みまで解説しました。
環境省関連以外では、やや空回りしている感の強いデコ活ですが、徐々に地方自治体などでも取り組みが開始されているようです。
環境省が設定している新しい国民運動の名前として、デコ活への理解が深まれば幸いです。