CO2排出量の計算方法を解説!電力の使用に伴う排出量を把握しよう
CO2排出量の計算方法は、大きくわけて2種類存在しています。ひとつは、活動量と排出原単位を用いた簡易的な計算方法です。もうひとつは、実際の事業活動で消費している電力やガスなどのエネルギーからCO2排出量を正確に計算していく方法です。
この記事では、CO2排出量の計算方法からサプライチェーン排出量との違い、計算を行うメリットや流れについてわかりやすく解説します。
脱炭素経営に向けてCO2排出量を把握したい方やCO2排出量の計算方法がよくわからない方などは、ぜひ参考にしてみてください。
目次
CO2排出量の計算方法
CO2排出量は、活動量×排出原単位(排出係数)という計算方法で求めることが可能です。
活動量は、企業の事業活動で消費された電力やガス、燃料、その他エネルギー全般を指しています。一方、排出原単位は、活動量からどの程度のCO2が排出されているのか、エネルギーごとに単位化させたものです。つまり、電力1kWhあたりのCO2排出量が、排出原単位になります。
それぞれの排出原単位については、環境省HPの算定方法・排出係数一覧ページから確認することが可能です。
たとえば、原油の輸送における排出原単位(パイプラインによる輸送の場合)は、1klあたり0.00000049 tCO2とされています。
冒頭で解説した、より正確な計算方法を求める場合は、排出原単位を実際の事業活動から計測し、調整する必要があります。しかし、データを収集することが難しいため、まずは環境省のデータを用いて計算してみましょう。
それでは、CO2排出量とサプライチェーン排出量との違い、なぜ企業はCO2排出量を計算すべきなのかといった点をわかりやすく解説します。
参考:環境省ホームページ(環境省_算定方法・排出係数一覧 |「温室効果ガス排出量 算定・報告・公表制度」ウェブサイト
サプライチェーン排出量との違い
サプライチェーン排出量とは、自社の事業活動から排出されたCO2だけでなく、上流・下流で排出されたCO2も含めた数値のことです。
上流は、たとえば他社から原材料を購入し、調達・輸送してもらった際に排出されるCO2を指しています。他には、従業員の出張や通勤時に排出されたCO2も含まれています。
下流は、自社の商品やサービスを販売したあとに排出されるCO2などを指す用語です。具体的には、販売後の消費・輸送・廃棄・加工などで排出されたCO2は、下流のサプライチェーン排出量としてカウントされます。
つまり、サプライチェーン排出量を削減できれば、さらにCO2排出削減効果を高めることが可能です。自社のCO2排出量を計算したあとは、サプライチェーン排出量についても調査・分析してみることをおすすめします。
CO2排出量を計算すべき理由
CO2排出量は、気候変動問題の解決や企業価値の向上といった点で計算すべき数値とされています。
以下にCO2排出量を計算すべき主な理由を紹介します。
- 気候変動問題の解決につながる
- 取引先からCO2排出量のデータを求められた場合に提示できる
- 温対法や省エネ法に該当する企業は報告義務化に対応できる
- 資金調達の際に気候変動対策に関するデータの提示が必要な場合がある
CO2排出量の計算は、脱炭素化に向けた課題の整理・対策の実行に役立ちます。各企業が脱炭素化を達成できれば、気候変動問題の改善・解決につながります。
また、脱炭素化の流れから、取引先もCO2排出量・サプライチェーン排出量の計算を始める可能性があります。取引先からCO2排出量に関するデータを求められる場合に備えて、今からCO2排出量に関するデータ収集や計算を進めておくことが大切です。
さらに、省エネ法(エネルギーの使用の合理化等に関する法律)や温対法(地球温暖化対策の推進に関する法律)では、条件を満たす企業に対してエネルギー使用状況や温室効果ガス排出量の報告義務化をはじめとした法規制が定められています。特定の企業は、CO2排出量の計算が必要な状況です。
そして、投資・融資を呼び込むためには、気候変動対策に関する情報開示が求められています。そのため、資金調達を進めていくには、まずCO2排出量の計算を行い、データを揃えておく必要があります。
CO2排出量の計算によって得られるメリット
CO2排出量の計算を始めることは、企業にとってメリットの多い作業といえます。
その中で主なメリットは3つになります。
- 気候変動問題の解決へ貢献
- 自社の電気料金コストなどを削減
- 自社の企業価値向上
それでは、CO2排出量の計算および計算と対策を行うことで、どのようなメリットを得られるのか解説します。
気候変動問題の改善を行う上で役立つ
CO2排出量の計算は、気候変動問題の解決につながる行動のひとつです。そのため、CO2排出量の計算は企業にとって戦略的な重要性を持つこととなっています。
気候変動問題の原因とされるCO2は、事業活動でも排出されています。しかし、何をどのように対策すればCO2を削減できるか把握できないため、まずデータを収集しなければいけません。
電力やガスなどの使用に伴って排出されるCO2を計算できれば、どの程度削減できるのか分析することが可能です。また、対策を行ったあとは、いくら削減できたのか比較できます。
自社の電気料金コストなどを削減
CO2排出量の計算および脱炭素経営は、自社の電気料金コストなどを削減する上でメリットのある行動です。
CO2は、あらゆる場面で排出されています。たとえば、電力会社から供給されている電力を消費すると、間接的なCO2排出につながってしまいます。なぜなら、電力会社の所有する火力発電所は、発電時にCO2排出が排出されるためです。
しかし、電力を使用する際、間接的なCO2排出量を可視化できないため、具体的にどのような対策を進めればいいのか悩むところです。
そこで、CO2排出量の計算式を用いれば電力使用に伴う排出量も計算・把握できるため、CO2削減の一環として節電や再エネプランへの切り替え、太陽光発電の導入といった対策を進めやすくなります。また、節電や太陽光発電の活用は、CO2削減に加えて電気料金の削減効果も得られる対策です。
自社の企業価値向上
CO2排出量の計算を含む脱炭素経営・環境負荷対策は、自社の信頼性や企業価値を向上させる上で重要なポイントです。
近年、投資家や企業などは、投資先・取引先を選ぶ際に脱炭素化や省エネ・環境活動の状況についても注目しています。また、環境問題への意識が高い消費者は、脱炭素化を目指す企業の商品・サービスを選ぶケースもあります。
このような理由から、CO2排出量の計算と情報開示、脱炭素化へ向けた対策は、自社の価値を高めていく上でメリットの大きな内容といえます。
CO2排出量の計算を行うまでの流れ
CO2排出量の計算および対策を始めるにあたっては、目的や計測範囲、評価など、各項目を丁寧に進めていくことが大切です。
最初にやるべきことは、CO2排出量の計算を行う目的と計測範囲の設定です。
たとえは、計算の目的が、自社の事業活動で排出されているCO2の測定であれば、社内のデータ収集と計算で問題ありません。しかし、取引先で排出されているCO2も計算に含めたい場合は、サプライチェーン排出量の考え方に基づいて、幅広くCO2のデータ収集・計算を行う必要があります。
計算の目的と範囲を設定したあとは、排出原単位別にCO2を計算し、削減可能な項目や環境への影響などを評価分析した上で対策を始める流れです。
CO2排出量の計算は気候変動対策につながる
CO2排出量は、活動量×排出原単位という計算式で求めることが可能です。また、CO2排出量を可視化できれば、どの項目において省エネなどの対策を施せばいいのか判断できるようになります。
脱炭素経営を始めたばかりの方やどの項目に対してCO2削減に関する対策を進めればいいのかわからない方は、CO2排出量の計算方法を把握した上でデータ収集・計測を始めてみてはいかがでしょうか。
参考記事
CO2排出量の計算方法を解説!電力の使用に伴う排出量を把握しよう
CO2排出量の計算方法は、大きくわけて2種類存在しています。ひとつは、活動量と排出原単位を用いた簡易的な計算方法です。もうひとつは、実際の事業活動で消費している電力やガスなどのエネルギーからCO2排出量を正確に計算していく方法です。
この記事では、CO2排出量の計算方法からサプライチェーン排出量との違い、計算を行うメリットや流れについてわかりやすく解説します。
脱炭素経営に向けてCO2排出量を把握したい方やCO2排出量の計算方法がよくわからない方などは、ぜひ参考にしてみてください。
目次
CO2排出量の計算方法
CO2排出量は、活動量×排出原単位(排出係数)という計算方法で求めることが可能です。
活動量は、企業の事業活動で消費された電力やガス、燃料、その他エネルギー全般を指しています。一方、排出原単位は、活動量からどの程度のCO2が排出されているのか、エネルギーごとに単位化させたものです。つまり、電力1kWhあたりのCO2排出量が、排出原単位になります。
それぞれの排出原単位については、環境省HPの算定方法・排出係数一覧ページから確認することが可能です。
たとえば、原油の輸送における排出原単位(パイプラインによる輸送の場合)は、1klあたり0.00000049 tCO2とされています。
冒頭で解説した、より正確な計算方法を求める場合は、排出原単位を実際の事業活動から計測し、調整する必要があります。しかし、データを収集することが難しいため、まずは環境省のデータを用いて計算してみましょう。
それでは、CO2排出量とサプライチェーン排出量との違い、なぜ企業はCO2排出量を計算すべきなのかといった点をわかりやすく解説します。
参考:環境省ホームページ(環境省_算定方法・排出係数一覧 |「温室効果ガス排出量 算定・報告・公表制度」ウェブサイト
サプライチェーン排出量との違い
サプライチェーン排出量とは、自社の事業活動から排出されたCO2だけでなく、上流・下流で排出されたCO2も含めた数値のことです。
上流は、たとえば他社から原材料を購入し、調達・輸送してもらった際に排出されるCO2を指しています。他には、従業員の出張や通勤時に排出されたCO2も含まれています。
下流は、自社の商品やサービスを販売したあとに排出されるCO2などを指す用語です。具体的には、販売後の消費・輸送・廃棄・加工などで排出されたCO2は、下流のサプライチェーン排出量としてカウントされます。
つまり、サプライチェーン排出量を削減できれば、さらにCO2排出削減効果を高めることが可能です。自社のCO2排出量を計算したあとは、サプライチェーン排出量についても調査・分析してみることをおすすめします。
CO2排出量を計算すべき理由
CO2排出量は、気候変動問題の解決や企業価値の向上といった点で計算すべき数値とされています。
以下にCO2排出量を計算すべき主な理由を紹介します。
- 気候変動問題の解決につながる
- 取引先からCO2排出量のデータを求められた場合に提示できる
- 温対法や省エネ法に該当する企業は報告義務化に対応できる
- 資金調達の際に気候変動対策に関するデータの提示が必要な場合がある
CO2排出量の計算は、脱炭素化に向けた課題の整理・対策の実行に役立ちます。各企業が脱炭素化を達成できれば、気候変動問題の改善・解決につながります。
また、脱炭素化の流れから、取引先もCO2排出量・サプライチェーン排出量の計算を始める可能性があります。取引先からCO2排出量に関するデータを求められる場合に備えて、今からCO2排出量に関するデータ収集や計算を進めておくことが大切です。
さらに、省エネ法(エネルギーの使用の合理化等に関する法律)や温対法(地球温暖化対策の推進に関する法律)では、条件を満たす企業に対してエネルギー使用状況や温室効果ガス排出量の報告義務化をはじめとした法規制が定められています。特定の企業は、CO2排出量の計算が必要な状況です。
そして、投資・融資を呼び込むためには、気候変動対策に関する情報開示が求められています。そのため、資金調達を進めていくには、まずCO2排出量の計算を行い、データを揃えておく必要があります。
CO2排出量の計算によって得られるメリット
CO2排出量の計算を始めることは、企業にとってメリットの多い作業といえます。
その中で主なメリットは3つになります。
- 気候変動問題の解決へ貢献
- 自社の電気料金コストなどを削減
- 自社の企業価値向上
それでは、CO2排出量の計算および計算と対策を行うことで、どのようなメリットを得られるのか解説します。
気候変動問題の改善を行う上で役立つ
CO2排出量の計算は、気候変動問題の解決につながる行動のひとつです。そのため、CO2排出量の計算は企業にとって戦略的な重要性を持つこととなっています。
気候変動問題の原因とされるCO2は、事業活動でも排出されています。しかし、何をどのように対策すればCO2を削減できるか把握できないため、まずデータを収集しなければいけません。
電力やガスなどの使用に伴って排出されるCO2を計算できれば、どの程度削減できるのか分析することが可能です。また、対策を行ったあとは、いくら削減できたのか比較できます。
自社の電気料金コストなどを削減
CO2排出量の計算および脱炭素経営は、自社の電気料金コストなどを削減する上でメリットのある行動です。
CO2は、あらゆる場面で排出されています。たとえば、電力会社から供給されている電力を消費すると、間接的なCO2排出につながってしまいます。なぜなら、電力会社の所有する火力発電所は、発電時にCO2排出が排出されるためです。
しかし、電力を使用する際、間接的なCO2排出量を可視化できないため、具体的にどのような対策を進めればいいのか悩むところです。
そこで、CO2排出量の計算式を用いれば電力使用に伴う排出量も計算・把握できるため、CO2削減の一環として節電や再エネプランへの切り替え、太陽光発電の導入といった対策を進めやすくなります。また、節電や太陽光発電の活用は、CO2削減に加えて電気料金の削減効果も得られる対策です。
自社の企業価値向上
CO2排出量の計算を含む脱炭素経営・環境負荷対策は、自社の信頼性や企業価値を向上させる上で重要なポイントです。
近年、投資家や企業などは、投資先・取引先を選ぶ際に脱炭素化や省エネ・環境活動の状況についても注目しています。また、環境問題への意識が高い消費者は、脱炭素化を目指す企業の商品・サービスを選ぶケースもあります。
このような理由から、CO2排出量の計算と情報開示、脱炭素化へ向けた対策は、自社の価値を高めていく上でメリットの大きな内容といえます。
CO2排出量の計算を行うまでの流れ
CO2排出量の計算および対策を始めるにあたっては、目的や計測範囲、評価など、各項目を丁寧に進めていくことが大切です。
最初にやるべきことは、CO2排出量の計算を行う目的と計測範囲の設定です。
たとえは、計算の目的が、自社の事業活動で排出されているCO2の測定であれば、社内のデータ収集と計算で問題ありません。しかし、取引先で排出されているCO2も計算に含めたい場合は、サプライチェーン排出量の考え方に基づいて、幅広くCO2のデータ収集・計算を行う必要があります。
計算の目的と範囲を設定したあとは、排出原単位別にCO2を計算し、削減可能な項目や環境への影響などを評価分析した上で対策を始める流れです。
CO2排出量の計算は気候変動対策につながる
CO2排出量は、活動量×排出原単位という計算式で求めることが可能です。また、CO2排出量を可視化できれば、どの項目において省エネなどの対策を施せばいいのか判断できるようになります。
脱炭素経営を始めたばかりの方やどの項目に対してCO2削減に関する対策を進めればいいのかわからない方は、CO2排出量の計算方法を把握した上でデータ収集・計測を始めてみてはいかがでしょうか。
参考記事