CO2を削減するための取り組みとして、カーボンフットプリントが積極的に行われています。この記事では、カーボンフットプリントに関する解説に加え、メリットやデメリットを解説します。記事の最後には、企業が行っている取り組みも解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

カーボンフットプリントとは？

カーボンフットプリントとは、商品やサービスの原料調達から廃棄までのCO2排出量を商品に記載する仕組みです。全てのものは、材料を揃えて商品を作るところから始まり、作った商品を店舗まで運び、販売するというプロセスがあります。さらに、購入された商品は使い終われば消費者によって廃棄されます。この流れをライフサイクルと言い、商品のライフサイクルで出るCO2を算出して、商品に記載することを「カーボンフットプリント」と言います。

例えば、スーパーで売られている惣菜であれば、原料として使われている野菜や肉、魚などを生産する段階からCO2を算出し始めます。そして、生産過程で排出されるCO2や作られた惣菜を店舗へ運ぶためのCO2も算出します。さらに、惣菜を食べ終わったあと、廃棄するときに出るCO2排出量も算出します。このライフサイクルで排出されたCO2の量を商品に記載するのがカーボンフットプリントです。

カーボンフットプリントの類語

カーボンフットプリントと似た言葉として「カーボンオフセット」や「カーボンニュートラル」などの言葉があります。それぞれの単語は、CO2の排出を抑えるための用語として使用されますが、意味が異なります。

カーボンオフセットは、排出されるCO2を減らし、どうしても削減できなかった分のCO2を植林などで埋め合わせする考え方です。カーボンニュートラルとは、カーボンオフセットの活動により、CO2排出量が実質ゼロになった状態のことを指します。

つまり「カーボンニュートラル」を実現するために「カーボンオフセット」などの取り組みを行う必要があるのです。カーボンニュートラルを実現するためには、カーボンオフセットなどのCO2を削減できる取り組みを続け、CO2排出の少ない仕組みを作っていかなければいけません。

カーボンフットプリントの必要性

カーボンフットプリントは、商品を使用する消費者へ向けて、商品のCO2排出量を見える化するために行われています。商品のCO2排出量をパッケージに記載し、見えるようにすることで、消費者がCO2排出量の少ない商品を選んで購入できるようになります。

CO2を含めた温室効果ガスは、地球温暖化の原因です。温室効果ガスの排出量を減らすことができれば、地球温暖化が原因の異常気象などの影響を最小限に抑えることができます。CO2削減に向けての取り組みのひとつとして、カーボンフットプリントが注目されています。

カーボンフットプリントのメリットとデメリット

商品のCO2排出量を見える形で表示するカーボンフットプリントは、メリットだけではありません。2024年現在、すでにカーボンフットプリントを行っている企業は多くあります。さらにカーボンフットプリントを広めるために、デメリットの改善が必要になるでしょう。

カーボンフットプリントのメリット

CO2排出量を商品のパッケージで確認できるカーボンフットプリントは、CO2削減に取り組みたい消費者にとってメリットが大きい取り組みです。また、エコな活動をアピールしたい企業にとっても、カーボンフットプリントはメリットが大きい取り組みだと言えるでしょう。具体的なメリットとして挙げられるのは、以下の3点です。

• カーボンオフセット実現のためのCO2削減量が分かる
• CO2削減することで消費者へのアピールが可能
• 積極的にCO2削減への取り組みができる

商品を売る企業側の最大のメリットは、環境意識が高い消費者に向けて商品のアピールポイントが増える点です。対して、商品を購入する消費者のメリットは、CO2排出量の少ない商品を選んで購入できる点です。

カーボンフットプリントのデメリット

カーボンフットプリントには、以下の3点のデメリットがあります。

• CO2排出量を割り出す手間がかかる
• ガイドラインがない
• 直接の利益に繋がらない

カーボンフットプリントを実施するためには、生産過程から廃棄までのCO2排出量を算出しなければいけません。しかし、2024年時点ではカーボンフットプリントを実施するための算出方法のガイドラインは決められていません。

また、カーボンオフプリントを実施したからと言って、利益が発生するわけではありません。手間をかけてカーボンフットプリントを実施したからと言って、消費者に選んでもらえるとは限らない点は、カーボンフットプリントのデメリットだと言えるでしょう。

カーボンフットプリントの取り組み事例

カーボンフットプリントは、すでに日本で取り組みが始まっています。最後に、カーボンフットプリントに対する日本政府の取り組みと、日本企業の取り組みを紹介します。カーボンフットプリントを積極的に行っている企業を選択して商品を購入することで、CO2削減活動に積極的に参加できます。

日本の取り組み

日本政府は、CO2排出量の少ない市場を作り出すために、カーボンフットプリントの義務化やガイドラインの設定のための動きを始めています。CO2は、商品を作るときや使用するとき、廃棄するときなど私たちの生活の多くの場面で排出されます。私たちの生活の中で排出されるCO2排出量をなるべく減らすためにも、カーボンフットプリントを積極的に導入していきたいという考えです。

また、カーボンフットプリントを実施することで、消費者の環境意識が高まる効果も期待できます。消費者の環境意識が高まれば、CO2排出量の少ない商品を積極的に購入したり、CO2排出量の少ないと思われる行動をしてもらいやすくなります。国民の意識を変えるためにも、身近にある商品にカーボンフットプリントを、義務化するための取り組みを行っています。

企業の取り組み

2024年現在では、カーボンフットプリントを実施している企業が多くあります。この記事では、カーボンフットプリントの取り組みを行っている企業である旭化成と明治ホールディングスの取り組みを紹介します。

旭化成では、株式会社NTTデータと共に、2021年からカーボンフットプリントを実施するための開発を始めています。2022年には、消費者に対してCO2排出量のデータを共有しており、2024年現在でも商品ごとのCO2排出量を確認することが可能です。

明治ホールディングスでは、2050年までにCO2排出量の実質ゼロを目標に取り組みを行っています。カーボンフットプリントのためのCO2排出量の算出に加え、Jクレジット制度を活用したビジネスモデルの構築を行っています。Jクレジットとは、CO2を排出した分のクレジットを国が発行し、クレジットを使ってCO2削減に取り組んでいる企業などに売ることで、社会全体のCO2削減を促す仕組みです。

まとめ

カーボンフットプリントは、企業だけではなく、個人の環境意識を高めるのに必要な制度です。今後、多くの企業でカーボンフットプリントへの取り組みが開始されることが予想されています。私たちが購入している商品にも、カーボンフットプリントが記載されているかもしれません。ぜひ、カーボンフットプリントを実施している企業の商品をチェックしてみてください。

参考記事

• J-クレジット制度及びカーボン・オフセットについて（環境省）
• カーボンフットプリントとは？　算定方法や課題、取り組み事例を解説（朝日新聞）
• 食品を巡るカーボンフットプリント：その動向（東北大大学院農学研究科　斎藤教授）
• カーボンフットプリントとは？わかりやすく図解、製品のCO2排出量「見える化」の仕組み（ビジネス+IT）
• CFPについて（CFPプログラム）
• カーボンフットプリントとは？企業が取り組むべき理由や今後の課題を解説（エレビスタ株式会社）
• カーボンフットプリントマークの取得について（Terrascope）
• カーボンフットプリントとは？算出例やメリット・デメリット、企業の取り組み事例を徹底解説（エラチエ）
• カーボンフットプリントとは｜排出される二酸化炭素量を表示する重要性やメリットを解説（TRANS）
• Ｊ－クレジット制度について(Ｊ－クレジット制度ウェブサイト)

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